留学中の院生です.
どこの国でも大学院生はオタク親和性が高いもので,日本アニメを
見たことがある同級生は結構多い.ところが,平均的なアメリカ人
にとっては「アキラ」や「Ghost in the shell」のようなサイバー
パンクこそがの日本アニメである.したがって彼らに宮崎作品の感
想を聞くと「あれはあくまで子供向けであって,俺はそんなくだら
ないものは見ない」という反応が返ってくることが多い(もちろん
日本アニメならなんでもOKのディープな奴も結構いて「犬夜叉の兄
の名前はなんだったかな?」などと質問してきて閉口する).
このような不理解と偏見を打ち砕くべく,先日我が家で「となりの
トトロ」上映会を敢行した.強制的に呼び集められた友人たち
(アメリカ人,イタリア人,中国人)が黙然としてテレビの周りに
座り込む.宣伝が終わり本編が始まると,最初に流れるのは有名な
テーマソング「歩こー歩こー,わたしはー元気ー!」である.その
あまりに童謡的な曲調と絵柄に,アメリカンが早くも脱落しかける.
みんなでバーにビール飲みに行こうというのを宥めすかし,
「この,どうみても子供向けの映画に,日本のアニミズム的宗教観の
全てが詰まっておるのだ.これは日本文化を理解するのには不可欠な,
本当にシリアスな名作なのだ.さらに言おう,登場人物は最後には
全員死ぬ」などと虚実を織り交ぜた熱弁を振るい,何とか席に着かせる.
812 名前:おさかなくわえた名無しさん 投稿日:05/03/01 05:28:02 ID:IoMQez5E
しかし話が進むうちに,最初投げやりだった彼らもどっぷりと引き
込まれていく.日本式家屋,神木の注連縄,稲荷,地蔵,農村風景
のいたるところが興味深いらしい.
さらに作品の終盤でメイが迷子になり,サツキがそれを必死で探す
シーンなど,涙も拭わず見入っている.かと思ったらアメリカ人が
「もういい沢山だ,止めてくれ.この子もお母さんもみんな最後に
死ぬのかと思うと可哀想で見ていられない」
って簡単に信じてんじゃねーよ!
結局,全員が深く感動しての散会となった.そのうち二回目の上映会を
開催する予定である.次回も無難に「千と千尋」あたりを見せようか,
あるいはいきなりファーストガンダム劇場版を見せてみようか,などと
いろいろと思案中.「蛍の墓」?あの話,嫌いだから却下.
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