400 名前:出世の白餅(一)[sage] 投稿日:2008/12/19(金) 21:46:17
ID:cg67r90c
「亭主を呼べぇ!!」
三河吉田の旅籠亭主・彦兵衛が、大声で呼ぶ客の部屋へ向かうと、薄汚い若侍の前に
たくさんの餅が広がっていた。
給仕に当った女中に聞くと、侍は好物だからと餅を山ほど注文したがその餅の出し方が
気に入らぬと言って、皿をひっくり返したのだと言う。
若侍「客に出すのに、雑な山盛りにして出すとは何だ?普通ならば、漆塗りの盆に
丁寧に積み上げて、持って来るものだろう?!最初から出し直せ!!」
十八から店を預かり二十年目の彦兵衛、慣れたもので皿に三つほど餅を乗せ直すと、
「それは失礼致しました。しかしこの餅の盛付けは、三河ではお武家様のための盛付けで、
『城持ち』と『白い餅』を掛けて、山のように大きい城の城主になれるように、との私どもの
せめてもの心遣いでございます。どうかお納めください。」
と言って若侍に勧めた。
「そうか、そんな謂われが・・・それは済まなんだ。では、喜んでいただこう。」
以外にも若侍はあっさり納得して、餅をガツガツと食い始めた。
その様子に長年のカンからピンと来た彦兵衛は若侍に話しかけた。
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