私は未だにどこか呆然としていた。太郎が、あんなに大事に育ててきた太郎が、突然
死んでしまい心に穴が空いたかのようだった。
にーちゃんにーちゃんと慕っていた次郎も
まだ兄の死を受け入れられておらず、にーちゃんはまだ生きてるよ、
すぐ前みたいに一緒に遊べるよ、などと言っている。
ああ、ついに火葬だわ…。太郎を入れた棺が、火の中へ入っていく。次郎もついに
泣きだした。にーちゃんが泣いてる、
太郎にーちゃんが泣いてるよ。そう言ってびいびい泣いた。それを見て私も
もう耐えきれなくなってしまい、ひとしきり泣いたはずなのにどこからか涙が溢れだした。
一粒、また一粒と。でも太郎は安らかに逝ったと信じたい。だから私は次郎に、
しっかりと諭した。おにいちゃんは泣いてないよ今も天国で笑ってるよ、と。しかし次郎は言った。ちがう
よママ、にーちゃん泣いてる、今も苦しそうに泣いてるよ…。
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