あるところにとても貧乏な少年がいた。
その少年が住んでいる町には小さな楽器屋があり、
少年はいつも郵便配達のバイトをしながらそこに飾ってあるトランペットを眺めるのが日課だった。
ある日、その店の店主が少年に尋ねた
「毎日これを見てるけど、そんなに欲しいのかい?」
「はい。今がんばってバイトして、自分の力でこれを買ってみせますから!絶対にとっておいてくださいね!」
心を打たれた店主は、少年のためにトランペットは誰にも売るまいと決めた。
値札も外して、売り物ではないことをアピールした。
そんなある日、老紳士がその楽器屋に訪れた。
「私はあのトランペットに惚れこんでしまった。
値札が外れているようだが、いくら出してもいい。あれを売ってくれ。」
しかし店主は売ろうとしなかった。少年との約束を守るため。
少年と約束した日から半年がたった。
「おじさん!あのトランペット売って下さい!」
例の少年は本当に金をためてやってきた。
店主は値札を外したトランペットを「よくがんばったね」と少年のところまで持ってきた。
店主は「これが唯一の楽しみ」と言ってトランペットを少年の目の前で叩き折った。
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