チラ裏だが、今日品川店で珍しい体験をしたんでレポさせてくれ。
ファーストロット一番乗りで気をよくした俺は、大ブタWに野菜マシニンチョモカラメコール。
他の麺バーはみんな小ばかりだが、この程度のハンデは全く問題にならない。
万が一にも俺がロット乱しになる可能性は無い。
待つこと10分ほど。俺は目の前に置かれた二郎を見て、驚愕した。
それは、どこから見ても小ブタアブラマシマシ野菜ニンニク少なめ。
俺のコールは、大ブタW大ブタW野菜マシニンチョモカラメのはず。間違いない。一体なぜ…?
く、く、く。
突然、隣のサングラスをかけた男が笑い始めた。その男の前に置かれた二郎を見て、さらに驚愕した。
──大ブタW野菜マシニンチョモカラメ。それは、俺が注文した二郎だ。そもそもこいつのオーダーは確か、
小ブタの…そう、アブラマシマシ野菜ニンニク少なめ…!
その男は愉快そうに俺のひきつった顔を見ながら話し始める。
「絶技『交錯する悪夢(ロットチェンジ)』…ふふふ、驚いたようだね。なに、これはちょっとした心理学の応用でね。
コールの内容とタイミングを工夫することで店主の記憶の混乱を誘い、隣のロッターの二郎と自分の二郎をチェンジできるのさ…。
まあ、この技を完璧に使いこなすには、相当なロティストとしての鍛練が必要だがね…
ロットマエストロ級でも、実戦で使えるのは何人いることか…
くくく、悔しそうな顔をしているね。君の二郎を奪い去った者の名を知りたいかね?
そう、私は『ロットウィザード』…名前は、」
そこまで聞くと俺は無言でそのロットなんとかの二郎と俺の二郎のどんぶりを交換し、大ブタWを食べ始めた。
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