「それにしても、あなたS君と付き合い始めたってだけで女を敵に回してるっていうのに…ちょっとは自覚持ちなさいよ」
「あはは、この連休は彼と別荘地で二人きりなんて、皆にバレたら殺されるかもね」
「まったくもう…」
「しかも避暑地だから、夏が過ぎたらもう誰もいないの!いいよぉ、二人だけの世界って感じ?」
「もうシーズンオフみたいね、うるさいくらい鈴虫鳴いてるのが聞こえてるわよ」
「あ、聞こえる?そうなのよ、そっちはまだでしょ?ここはもう秋よ」
「まぁね…ところで、変な人とか熊とか気をつけなさいよ」
「大丈夫だって、携帯も通じるし」
「あ、ちょっとまって背中かゆい… ごめん、片手包丁でふさがってるの」
「ごめん、これから料理するところだった?」
「まぁそんなところかな、いいの、もう半分は済んだから」
「忙しいときに電話しちゃってごめんね、なんか彼の帰りが遅いから寂しくなっちゃって」
「いいのいいの、じゃまた後でね」
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