あなたが運ばれてきたのは、夏の雨の夜でしたね。

2011年6月13日月曜日 ·

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86 :ほんわか名無しさん :2007/02/25(日) 21:54:09 0
あなたが運ばれてきたのは、夏の雨の夜でしたね。
深夜3時の救急コールで目を覚ました私。ほどなく聞こえる救急車のサイレン。
蘇生室に着いた時にはあなたの心臓はもう脈を止めていました。
震えのみが残る心電図、電気ショックも効かず、あなたの生命の兆候は消えてしまいました。

私は医者です。人の死には慣れています。泣いていたらきりがありません。
身元のわかるものは何一つなく、あなたの名前すらわからないままでした。
なぜ、ビルから飛び降りてしまったのですか?
あなたはまだ20代そこそこでしょう。見た目も美しい女性でしたね。
身元を示すものは何ひとつないのに、あなたの薬指にはダイヤの指輪が光ってました。
いったい何があったんですか?
あなたがその指輪を初めてはめた瞬間は、きっと幸せだったはずです。

3日後、私はあなたの名前を知りました。飛び降りたいきさつも知りました。
指輪があなたの身元を知る手がかりになりました。
婚約破棄。辛かったことでしょう。
でも、辛かった分だけ、生きていればこれから幸せが訪れたはずだと思うんです。

あなたは自分の生命を絶ってしまいました。
その事実を、私は決して許すことができません。
私は目の前で「死にたくない」と叫びながら命の灯を消す人々を沢山見てきたから。
大好きな人との避けられない別れの現場を沢山見てきたから。

あなたにもっと生きてて欲しかった。幸せになってほしかった。
あなたのことは何も知らないけれど、これだけは伝えたい。
あなたの蘇生中止の時はスタッフ全員が涙していたことを。

私は医者です。人の死には慣れています。泣いていたらきりがありません。



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