巷は怪談ブームだ。

2010年1月12日火曜日 ·

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巷は怪談ブームだ。学校や街や個人の家ではその話題で持ちきりだ。
俺は数年前から実家にさよならして一人暮らしをしている。
ペットはネコが一匹、一人暮らしを支えてくれるかわいいネコだ。
だから怪談話なんてはっきり言ってバカバカしい。
・・・怖くなんかないぞ。ただ身近な物に対しての噂のせいでビクついて
るだけだ。
たとえば階段からラップ音とか、夜中テレビがひとりでに点くとか、
朝になると部屋のドアが開いているとか、トイレがひとりでに流れると
か。
一人になったら一緒に話し合える相手なんてペットしかいない。
だから科学的に考えてやる。そして納得すれば怖くない。
まずは階段からラップ音、我が愛猫が音を出しているんだ。
夜中テレビがひとりでに点く、我が愛猫がチャンネルを不意に触ったに違
いない。
部屋のドアが開いている、我が愛猫が開けているんだ。ネコは戸を開ける
というからな。
トイレがひとりでに流れる、これも我が愛猫がいじってしまって流してる
に違いない。
結局愛猫がしたことにすれば全部少ない確率でも合理的に解釈できる。
もう今日は寝よう。明日、この部屋に起こっていることは全て愛猫のせい
だ。
朝・・・またドアが開いている。かわいいかわいい愛猫が開けたのか。
愛猫がしていることならば何でも許してしまう。俺は大の動物好きなの
だ。
俺は愛猫をびっくりさせないために音があまり立たないようにドアノブを
半分回しつつドアを閉めた。
今日のマリアのエサの組み合わせは何にしようかな。あっ、マリア知らな
い?
紹介してなかったね。ごめんな。マリアはさっきから愛猫愛猫いってるう
ちのネコの名前だ。
毛並みもふさふさしていて、顔をつっこむと温かいんだ。夏はちょっと苦
しいけどね。
マリアはそろそろ13歳になる老猫だ。よく13年生きたネコは
化け猫になるって言ってる。
まあ、化け猫になったとしてもこれからもマリアと一緒に楽しく生活が送
れるなら俺はうれしい。
そこで近所のおばさんたちが話している。また怪談話か。飽きた。
挨拶しながら横を通り過ぎる。通り過ぎるときに耳をそばだてる。
「○○○号室で女性の姿が確認できたんだって・・・部屋の人出て行って
るって目撃してる人いるのに・・・」
「怖いね・・・最近の心霊特集番組を観てから私も結構寒気がするのよ。
その霊もまさかこの人が持ち帰ってるんじゃないの?」
フン、バカバカしい。○○○号室には俺とマリアしかいない。俺は彼女い
ない歴=年齢なんだ。変なことをぬかすな。
ああ、気分を害した。マリアに癒してもらおう。そう思い、俺は部屋へ急
行した。


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