2010年2月7日日曜日 ·

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俺が小学二年生の頃、初めて買ってもらった自転車がやけにイイ奴で物凄く大事にしてた。
毎日毎日乗りすぎて、怪我して帰っては母親と衝突。ついに俺は家出する事にした。

近所の土手沿いを延々走っていると、涙で視界が歪んで落車してしまった。
慌てて心配したのは自転車のほう。Wレバーがバカになっている!自分には直せない部分だ。

焦った俺の前に、一人のピチピチジャージのロード乗りが止まった。

俺は、すぐさま話し掛けた。「これ、直してください!」お兄さんは、一瞬「ハァ?」って顔をしたけど、すぐに優しい顔になってサドルバッグから工具を取り出し、直してくれた。
自転車を裏返しにして、ペダルを手で回して、ガチャガチャギアを変えながら、目をつぶり、耳をすませてチェーンラインを出してくれた。
ロード乗りにとっては造作もないディレイラー調整だけど、その人は物凄く念入りにやってくれた。

幼い俺の体感した時間で、20分近くもかけてくれた気がする。見ず知らずのクソガキの俺に。

俺は、人の優しさに感動し、母親のもとへ帰ろう、謝ろうと決意した。

そして、「これでもう大丈夫、自転車大事にしなよ」と俺の頭を撫でてくれた瞬間、


無言で猛烈に走りやってきた俺の母親が、お兄さんの頬をビンタした。
そして、「お願い!」と叫ぶと、草むらからたくさんの警官が現れてそのお兄さんを取り囲んだ。

お兄さんが「なんで…」と呟くと、一人の警官がお兄さんの腹部に蹴りを一発お見舞いした。

俺もその光景を見て大泣きし、「なんで…」と呟いたが、俺は母親に「もう大丈夫…」と抱き締められた。


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