別に好きでもなんでもなかった 寧ろ他に好きな人がいた 毎日がアンニュイだった

2010年2月19日金曜日 ·

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以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/22(月) 23:45:56.13 ID:iPer6oH90 
別に好きでもなんでもなかった 
寧ろ他に好きな人がいた 

毎日がアンニュイだった 

思い出語るから興味ある人だけ読んでくれればいい 




2 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/22(月) 23:48:09.74 ID:iPer6oH90 
就職活動も全然してないまま、いつのまにか大学4年生になってた 
留年ギリギリだったけど、可も無く不可もない毎日だった 

狭い研究室で忘年会が終わって、食器や鍋を洗い終わったら 
同級生がソファーで寝てた 


4 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/22(月) 23:49:41.71 ID:iPer6oH90 
鍋の後始末をしていたら目を覚ましたようで 
別に手伝ってくれるわけでもなく 
洗物やら椅子の片付けをしている私を見ながら 
ソファーにグダってなりながらタバコを吸ってた 


6 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/22(月) 23:52:34.34 ID:iPer6oH90 
一通り終わって身支度をしていたら 
「遅くなったら部屋まで送るよ」と 

彼が一人暮らしなのは知っていたけれども 
どこに住んでいるのかまでは知らなかった 

研究室の電気を消して鍵を閉め 
まっくらな校舎の廊下を並んであるいて 
玄関からキャンパスに出ると 
空気が冷たくて硬くて 
空を見上げると満天の冬の星空 



7 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/22(月) 23:53:46.90 ID:iPer6oH90 
星座なんか何もしらないけど 
見上げる夜空が白い息にかすんで 
決まっていない進路も忘れて、初めて学生になって良かった 
そう思えた 


10 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/22(月) 23:55:41.14 ID:iPer6oH90 
二人で並んで大学の敷地を出ると 
街はまだ人が出歩いていて 
おそらく下級生だろう、酔っ払った学生も楽しそうに騒いでいた 

そんな喧騒が遠くに聞こえるきがして 
なぜか後ろめたさを感じながら 
二人無言で家路を急いだ 


11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/22(月) 23:59:01.27 ID:iPer6oH90 
安いアパートについて部屋のドアまで送ってもらった 
帰ろうとする彼の後姿を見送っていたら 
「すこし休んでいく?」 
無意識にそんな声をかけた自分に、自分でも驚いた 

振り向いてこちらを見ている彼に 
「あったかいコーヒーでも煎れるよ」 
と、まるで引き止めるかのように声を続けた 
彼はちょっと驚いてはいたけれど 
せっかくだからと部屋に上がった 




以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:01:36.58 ID:vI3K9uSN0 
それ以来、彼は部屋に頻繁に遊びに来るようになった 
彼の借りている部屋はバイクで30分位かかる遠い場所だったらしい 
遅くなった日も、特に用事がない日も 
彼は部屋に尋ねてきて 

私はいつもコーヒーを煎れて 
後はレポートをしたりゲームをしたりテレビやビデオを見たり 
六畳の狭い空間なのに お互いにお互いを邪魔しないよに 


13 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:04:02.00 ID:vI3K9uSN0 
部屋に人が来るのは気を使うから嫌いだったけど 
すごく自然に、すごく違和感なく 
そんな不思議な関係が、私は嫌いじゃなかった 

彼が朝からバイトがあるという理由で 
初めて着替えをもって部屋に来た事があった 
照れくさそうに「泊まってもいいかな」と 

私は「うん」とだけ応じて 寝て、起きて、彼は早朝にバイトに行った 


14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:06:43.66 ID:vI3K9uSN0 
お昼頃に洗濯をしていると バイトが終わった彼が戻ってきた 
いつもお世話になっているからと 
バイトで廃棄になったからと 中華まんを5つ取り出した 

5つも食べられないよ 一緒に食べようと、彼を部屋に招くと 
彼は初めて「ただいま」と 
それがなんだか、おままごとみたいでおかしくて 
私は「おかえりなさい」と笑った 


15 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:10:53.32 ID:vI3K9uSN0 
なし崩し彼は私の部屋で生活をするようになったけど 
私はそれが嫌じゃなかった 
研究室の事、高校の頃の事、卒業後の進路の事 
私はパソコン用のスチール椅子に座りながら 
彼はベッドを背もたれにしてタバコを吸いながら 
本当に色々と、その場で思いついた事を話したりした 


19 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:13:40.72 ID:vI3K9uSN0 
私は異性と交際した経験が少なかったが彼は豊富だった 
私が好きな人の話をして、彼はよくアドバイスをしてくれた 
彼が私に相談をする事は一回もなかったと思う 

アドバイスが本当に的確だったかどうか、今になってもわからないけど 
私の好きな人と、私がうまくいくように 
真剣に私の話をきいて見解を述べてくれる 
そんな彼と話している時間が その時は楽しかった 


21 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:16:43.00 ID:vI3K9uSN0 
そんな毎日を送っていたら 
ある日彼が遅い時間に帰ってきた 
めずらしくたくさん飲んだらしく 
玄関に上がるならのしかかってこられた 
私の部屋まで帰ってくるのも大変だったみたいだった 

何があったのか聞いてみたら 
「好きだった人にふられた」との事 

私は彼をカーペットまでひきずっていき 
どうしたらよいものか 途方にくれた 


27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:22:17.18 ID:vI3K9uSN0 
彼が「上手だね」と言ってくれた いつものコーヒーを煎れた 
机においても彼は微動だにせず 
私はいつものスチール椅子に腰掛けて そんな彼を見てた 

コーヒーが冷めて湯気がみえなくなった頃 
部屋が寒い事に気が付いて 毛布を彼にかけて 
彼のために入れた冷たいコーヒーを一気に飲み干した 


31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:25:39.13 ID:vI3K9uSN0 
彼が寝入っているのを確認してから 
私は電気を消してベッドに横になった 

彼も失恋をすると人並みにへこむんだなと 
彼も失恋なんてするんだなと 
当たり前な事が凄く意外な気がして 

私は今まで何でも話していたのに 
彼は何も言ってくれなかったんだなと 

その日はとても寒い日で 
私はなんだか憂鬱な気分で寝られなかった 


34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:27:44.66 ID:vI3K9uSN0 
何時なのか全くわからないけどベッドが軋むのを感じた 
目が覚めた彼がベッドに入ってきたんだ 
身体がひどく冷たくなっていたのがわかったけど 
私はどうして良いかわからずに 
寒い日だったので追い出すわけにもいかずに 
寝返りをうつ振りをして 彼に背中を向けた 


37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:29:40.77 ID:vI3K9uSN0 
彼の手が後ろから私の肩を抱いて 
それが凄い嫌だったけれども 
跳ね除けたら今までの関係が崩れる気がして 

彼が寝ているのか起きているのかもわからなかったけど 
身をこわばらせて丸くなっていると 
彼は私の背中を抱き寄せるようにして 

二人はそのまま朝を迎えた 


41 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:31:42.12 ID:vI3K9uSN0 
朝になると彼は元気になっていて 
昨日の事は何もなかったかのように振舞っていて 
私も何もなかったかのように振舞って 

彼が「おはよう」と 
私が「おはよ 今コーヒー煎れるね」と 

たくさん呑んだんだね 運ぶの重かったよと 
彼はいつもの照れくさそうな顔で「ごめんごめん」と 


45 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:33:43.88 ID:vI3K9uSN0 
その後、この件については何も触れる事はなかったけど 
ひとつだけ 今までは私がベッド 彼がカーッペット 
いつも寝ていた位置が変わった 

無印で買った安いシングルのベッドに 
お互い背中を向けて寝るようになった 

「いままで寒かったんだね ごめんね」と言った 
彼は「寒かったよ」とだけ言って笑った 


49 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:36:36.84 ID:vI3K9uSN0 
背中合わせで話しながら寝るようになり 
仰向けで寝るようになって 
いつのまにか向かい合って寝るようになって 

それからキスをするようになって 
肌を重ねるようになるまでは早かった 

私は相変わらず好きな人がいて 
彼にも好きな人がいたようで 

私はよく彼に相談をして 
彼は聞いてくれるけど、何も話さないで 

そんな毎日だった 


53 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:38:33.74 ID:QfVhmowfO 
んぁ分かるわ 
痛いほど分かるわ 

流されてー流されてー終末は「こんなもんなのかなぁ・・・・」 

そーゆーのが一般的だと思うよ 


54 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:38:54.28 ID:vI3K9uSN0 
進路が決まり、卒論が忙しくなると 
お互いにだんだんと忙しくなり 
彼の足はだんだんと私の部屋から遠ざかっていった 

私はコーヒーを一人で煎れて、一人で飲んで 
そのまま卒業して、それ以来会っていない 


58 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:40:24.64 ID:vI3K9uSN0 
彼がどこで何をしているのか全くしらなかったけど 
今年のお正月に年賀状が届いた 
綺麗な奥さんとかわいい子供の写真が載っていた 


64 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:43:38.84 ID:AjftY0Tv0 
>>58 
やめろよw 
人生そんなもんかね、ふーん…(ちょい感動)で終わった話がチープになる 


61 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:43:12.49 ID:vI3K9uSN0 
来春、私も結婚する 
あの時の私が知らなかった人と 
彼が会った事もない人と 

学生最後の数ヶ月の彼との時間は 
私にとって何だったのかわからないけど 
私は今でもあの時間が嫌いじゃない 


70 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:46:01.50 ID:iIf58WtXO 
なんか切なくなった 


62 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:43:29.51 ID:MUoMGABu0 
なんか男の視点だな 
こういう女々しい回想は男特有だと思ってた 


107 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 01:07:05.82 ID:hz/PFdBYO 
ただ生活をするだけで、哀しみはそこここに積もる。 
日に干したシーツにも。洗面所の歯ブラシにも。携帯電話の履歴にも。 


16 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:11:54.77 ID:vgXMQiw/O 
ええ話や… 

暇を見てスペック書いてくれ 


79 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 投稿日:2009/06/23(火) 00:49:30.73 ID:vI3K9uSN0 
>>16 
私:32歳男 来春結婚 
彼:33歳(1留) 既婚 



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