71 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/10(日) 17:48:50.03 ID:f4mmHux80
俺が23歳の頃、就職1年目の冬、俺の誕生日の日のこと。
職場の人たちが「誕生パーティーをしてあげる!」というので、家に
「今日は遅くなるよ。 ゴハンいらないから。」と電話を入れたら、
父が「今日はみなさんに断って、早く帰ってきなさい。」 と言う。
「だってもう会場とってもらったみたいだし、悪いから行く。」
と俺が言うと、いつもは 温厚な父が、
「とにかく今日は帰ってきなさい、誕生日の用意もしてあるから。」
とねばる。
「???」と思いながら、職場のみんなに詫びを入れて帰宅した。
家にはその春から肋膜炎で療養中の母と、その父。
食卓にはスーパーで売ってるような
鶏肉のもも肉のローストしたみたいなやつとショートケーキ3つ。
「なんでわざわざ帰らせたの!
俺だってみんなの手前、申し訳なかったよ!」と言ってしまった。
72 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2009/05/10(日) 17:50:06.09 ID:f4mmHux80
父は何か言ったと思うが、覚えていない。
母が、「ごめんね。明日でもよかったね。」と涙ぐんだ。
俺は言い過ぎたな、と思った。
でもあやまれず、もくもくと冷えた鶏肉とケーキを食べて部屋に戻った。
その2ヶ月後、母の容態が急変し入院した。
仕事帰りに病院に行くと、父がいた。廊下の隅で、
「実は お母さんは春からガンの末期だとわかっていたんだよ。
隠していてごめん」とつぶやいた。
呆然として家に帰ったあと、母の部屋の引き出しの日記を読んだ。
あの誕生日の日のページに
「○男に迷惑をかけてしまった。」とあった。
ワーッと声を出して泣いた。
何時間も「ごめんね。」といいながら泣いた。
夜が明ける頃には 涙が出なくなった。すごい耳鳴りがした。
4,5日して母は死んだ。
仕事をやめて、看病していた父も数年前に死んだ。
父が準備したささやかな誕生日パーティーをどうして感謝できなかったのか。
母にとっては最後だったのに、、、。
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