「ある物が壊れる可能性は1日目が最も高い」という話
1個の茶碗があるとする。
この茶碗は、これから先どの一日に壊れる可能性がもっとも高いだろうか。
単純に毎日壊れる可能性が1/2(半減期が1日)であるとしてみる。もちろん実際にはもっとも低い確率だが。
この茶碗が1日目に壊れる確率は、1/2である。
この茶碗が2日目に壊れる確率は、1/4である。
この茶碗が3日目に壊れる確率は、1/8である。
この茶碗が4日目に壊れる確率は、1/16である。
この茶碗が5日目に壊れる確率は、1/32である。
……
つまり
「茶碗がいつ壊れるかを考えるとき、もっとも壊れやすいと言えるのは『一日目』である」
ということである。
他のどの一日をとっても、最初の一日目よりも壊れる確率が低い。
茶碗を買った日にカレンダーを出してきて、どの日に壊れるか賭けをしよう、と持ちかけられた場合、明日に賭けるのがもっとも勝つ確率が高くなる。
実は、このことは、あらゆる寿命を持つ、あらゆる素粒子や茶碗について成り立つ真理である。
経年劣化するものについては言えない話だが、茶碗や飛行機のように十分寿命が長い場合の、その寿命を迎えるはるか前の期間について考える場合には、これはよい精度で成り立つと言える。
半減期が十億年の原子核の観測を始めたとして、それが壊れる可能性が最も高いのは明日である。
私たちが事故に遭う可能性も、明後日よりも来年の今日よりも、危ないのは明日だ。
これが「日々を大切に生きよう」という言葉が本当に意味することの、その一つくらいには数えていいかもしれない。
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