人の手はな、守る為にあるもんだ!ははは!

2010年3月17日水曜日 ·

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貫きたい想いがあったとしても人は状況によって簡単に想いを変えてしまう
だから私は今まで人を信じたことなかった

幼い頃、たまたま旅行に来てたホテルで火事になった。
煙で前も見えず、聞こえるのは叫びだけ。
長年つれそった妻でさえも置いて逃げる人
自分の命が大事で子供さえも突き飛ばし先に逃げようとする従業員
誰一人として自分を優先してるとしか思えなかった

恐かった。
迫りくる火よりも人の本性が
そんな想いを隠しながら生きてきた。
誰も信じず一人で生きてきた。


その中で大地震は起こった
忘れもしない

次第に大きくなる揺れ、倒れる柱、割れるガラス、
立つことさえもできない、何が起こっているのか考える暇をあたえない
気が付くと倒れてきた柱によって私は下敷きになってしまっていた。

あぁ、終わりだ。
生きたとしても恐かった。
また人の本性を見てしまうのが‥
助けなんて期待しない。
ただ死ぬのを待っていた。
そんな時、声が聞こえた

「待ってろ!今、助けてやる」
隣の家の人だった。
見ると右手にヒドイ傷を負っている

彼は両手で柱を持ち上げた。
信じられない。
その人は大工だ。
そんな事したら傷がヒドクなり右手が使えなくなる

「手が空いてるヤツ手伝ってくれ!」
彼はそう叫ぶと人が次々に現われた

皆、傷を負っている。
知らない他人を助けるために自らを犠牲にしてまで、かけつけてくれた。
幼い子供ですら来てくれた。

助けだされた私はお礼を言い謝った。
そうすると彼は告げた

「ははは!人の手はな、守る為にあるもんだ!ははは!」

涙が出た。
周りを見ても 息子をカバって下敷きになってしまった人
妊婦にパンを笑顔で渡す食べ盛りの幼い子供
犬でさえも必死になって助けようとする人々。
火が上がってる家に飛び込み助けようとする人

身内どころか他人なのに必死だった
一人も…誰一人として自分を優先にしてる人などいなかった

大人になった私は、消防士になった。
自分のこの手で沢山の人を助けようと思う。


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