ある老人ホームの一室に、三人の老婆がほぼ寝たきりの生活をおくってい
た。
窓際にいる一人の老婆は外の景色をカーテンで隠し、あとの二人には決
してみせることはなかった。
おまけに、公園の並木がきれいだ。アイスクリーム屋が来ているよ、おい
しそうだ。などと自慢気に語るものだから、
あとの二人は、意地の悪い人だ。もし窓際に移れたら二人で仲良く外の景
色をみようと約束した。
しかし、窓際の老婆が死に、窓際に移ることができた二人目も、結局約
束を破って景色を独り占めにした。
外の景色をまだみていない老婆は、二人目を恨み、さっさと死んでしまえ
ばいいと思い続けた。
それから間もなく、二人目はいかにも悲しい表情を三人目に向け息を引
き取った。
念願の窓辺に移れた最後の老婆は、カーテンをめくり、、、
先に逝った二人に泣いて詫びた。
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