大阪では大地震と大火事がありましてたくさんのひとが死にました。
死ななかったひともおうちやきものやたべものがなくなって大変に困りま
した。
太郎さんと花子さんは、箱のおじさんに手を引かれてきんきのあかい家の
ところへ逃げて来ました。
二人は久し振りにあかい家に入り、箱のお話をきいてよろこんでおとなし
くねむりました。
ところが夜中になると太郎さんはねむったまま大きな声を出して、
「にんじん、にんじん」
とよびました。すると花子さんもねむったままで、
「メリーさん、メリーさん」
と呼びました。そうしてまたスヤスヤとねむりました。
すると郵便の男は「どちらも焼けてしまっただろう。可哀そうに……」
と言い、そっと箱を閉じました。
にんじんはとうとう生えてきませんでした。
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