子供の頃は幸せだった

2010年1月16日土曜日 ·

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子供の頃は幸せだった。父の趣味でジュークボックスがあったのを鮮明に
覚えている。
真冬には寒がりの俺に、裏地が二重のジャンパーを母が繕ってくれた。
いい両親だった・・。俺はそんな幸せを、21歳の時に些細な喧嘩で壊してしまったのだ。そして転機
は今年が明けたばかりのある日、訪れた。俺は薄ら寒い七畳半の部屋でただゴロゴロしながらだらけた時間を過ごしていた。唯一の存在だった18歳の彼女に
フラれ完全に鬱だっ
た。親と喧嘩して飛び出してもう四年、バイトで食いつないではいたもの
の、社会的
にも死んでいるも同然の状態。友達もいない。だから、そんな俺の部屋、
16号室のチャ
イムは当然ほとんど鳴ることが無い。だがその日は続けて五回も鳴らされ
た。そうい
えば昨日もおとといも鳴ってたな、どうせろくな用じゃないと思って出な
かったが・・
・。俺のとこに来訪者などいないし。そう考えているともう一度鳴った。
しかたがな
いのでインターホンを取ると、武士のごとく厳しい顔をしたお兄さんが
映っていた。俺
宛に両親から宅配物が届いているという。今日で来るの3回目なんです
よ、といかつく
言われた。両親から贈り物だって??そんなことありえない。だが彼の苦
労を重視し
て出ておいた。見ると差出人はたしかに両親だった。なんだと思って開け
てみると15mm
程の海で取れる貝殻と、手紙が入っていた。手紙は十行くらい。「久しぶ
りですね。あ
なたのことが気がかりで手紙を書きます。慎二、今までいろいろあったけ
ど私たちはあ
なたのことを愛しています。いつまでそっちにいるつもりですか?パチン
コばかりやっ
てあんまり仕事のあてが無いならこっちに来てはどうでしょう。地元でも
年じゅう七丁
目のお店でスロットやってたものね。でもいいんです。あなたはもう十二
分に頑張りまし
た。冬の九木湾の海は綺麗ですよ。いつでも待っています。」読み終わっ
て俺はしば
らくぼう然としたが、直後に大声を出して号泣した。13日の契約更
新でバイトはやめ
よう・・。そして両親と静かに暮らそう。そう思った。裏地を二重にした
ジャン
パー・・23の時に自分で縫えるようになったんだ。ちゃんと着てい
くよ


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