レポ・・・いえ、これは私の懺悔です。同席されていた人、きっといらっしゃるのでしょう?諌めてください。
二つ間を空けた席に座ったのは六十歳ぐらいの白髪の似合うおじいさん、いや、お爺様、でした。
「ヤサイマシ、ニンニクのカラメ」と、お若い注文をされていて、へえ、と感心していたものです。
今となってはなんと分不相応。
バトルの一番熱い時間はとうに過ぎていましたが、若輩ながら警戒は怠らず・・・見つけてしまいました。お爺様の右手です。
ライス、それも子どものみがそれに振りかけることを許されているごま塩、これをあろうことか二郎にかけようとしていたのです。
"二郎は在る二郎を楽しむもの"、という固定観念のあった私は激怒し、
あろうことか大声で叫び散らす・・・大失態を犯してしまったのです。
しかしご老人、まったくあわてることなくレンゲにごま塩の浮いたスープを取って私に「飲め」と差し出してきました。
まあ・・・飲みませんわね。これを二郎と認めたくない気持ちがありました。
しかし味の改悪と言う三代悪の筆頭悪を犯したというのに動かない店主。
ひょっとしたら、なにか先があるのか、と一口。
・・・言葉を失いました。
ごま塩の風味が聞いた新しい二郎。あえてカラメ乗せの上でごま塩を振りかけた理由。恥ずかしながら腰が抜けました。
急ぎ自分の二郎に戻り、ごま塩を手に取りました。しかし見越していた店主、「顔がしわくちゃになるまでお前には早い」と、私に一喝。
甘さを知りました。そして、二郎を食べながら、あの新しい二郎が頭から離れない自分がいました。
ご老人と共に二郎を退店し、深く頭を下げてお話を伺いました。かのご老人、既に齢は九十を越えてらっしゃるそうです。
それでも未だ足腰粘り強く、若さ漂う体をしてらっしゃるのは、やはりあの精神と二郎なのか。
いろいろな話しを聞かせていただきました。最近は餃子のタレに注目してらっしゃるとか。
他は・・・申し訳ありませんが、言えません。この話は、私の宝なので。
私も九十になっても二郎に通い続け、その時はぜひとも新しい二郎を見つけたいものです。
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