ケント・デリカットが眼鏡のテンプル部分に指をかける。
デリカットタイムのスタートだ。
観客はこれから何が起ころうとしてるのか知っている。なのに何故か高ぶりが抑えられない。
固唾を呑んでデリカット眼鏡のレンズに注目する。
眼鏡は前方へとスライドさせられる。
その間わずか数秒なのだが、観客はレンズに様々なものを見る。
それは自分の姿であったり、世の中の裏側だったり。
やがて絶妙な位置で眼鏡は止められる。レンズにははみ出んばかりの大きな瞳。
観客は笑い、そしてあまりの大きさにため息さえ漏らす。
眼鏡をずらし、瞳を大きく見せる。これがケント・デリカットの眼鏡芸だ。
眼鏡をかけているタレントは数多い。だがこの芸を行えるのはデリカットだけ。
トミーフェーブラリーにはこの芸はできない。
眼鏡をファッションやギミック感覚でかけている者と、眼鏡ひとつでアメリカから渡ってきた者の差かもしれない。
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